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今年はカツオが獲れないとニュースになっていましたが、サンマの方は順調のようで新物の生サンマがお店に並ぶようになりました。秋は美味しいものが多いですが、我が家ではこのサンマが大人気です。
サンマは「秋刀魚」と書くくらいですから、秋を代表とする魚でしょう。この時期、各地でサンマのお祭りが開かれます。東京目黒のサンマ祭りは有名ですが、これは落語に因んだもの。初物に目がなかった江戸っ子はもっと早い時期にサンマを大枚叩いて買ったそうです。

ところで皆さんはサンマのワタを食べますか?
そもそもサンマという魚、胃がなく食べたものは鰓で濾しているのです。腸が他の魚と比べると極端に短く、約30分で排泄されてしまいます。それに加えて、北海道沖で最高に太ったサンマはその後餌を摂らずに南下して紀州まで泳いでくるので、ワタの中は空っぽなのです。そのためサンマのワタは食べられるのですね。ところが安く出回るサンマはこのワタが食べられないことが多いのです。
それはサンマの漁法にあります。
以前は一匹一匹引き抜く刺し網漁でしたが、現在は集魚灯を煌々と照らして、集まったサンマを一網打尽する棒受け網漁の方が盛んです。この方法だとサンマ同士の体がぶつかり、元々取れやすい鱗が取れて飲み込んでしまうのです。まぁ、そのお陰でサンマはほとんど鱗がついていないんですがね。
そういうことから、鮮度が高くてもワタが鱗だらけで食べられないサンマがあるわけです。

「秋刀魚苦いか塩っぱいか」とは佐藤春夫の「秋刀魚の歌」の歌詞です。
確かに秋刀魚のワタは苦い胆嚢の味が甘味と合わさってあの独特な美味しさになっています。でも佐藤春夫の「苦さ」は別のもの。
佐藤春夫は谷崎潤一郎の妻千代が谷崎から冷遇されているのを見て同情し、それが恋心になりました。一方、谷崎はあろうことか千代の妹せい子と結婚しようと思い、一旦は千代を佐藤に譲ると約束しました。しかし妹のせい子は谷崎の求婚を断るのです。そこで千代が惜しくなった谷崎は約束を反故にしてしまうのです。失意のあまり谷崎と絶交した佐藤は故郷和歌山に帰ったのでした。
この「秋刀魚の歌」は失意の故郷で歌われた詩で、ここに登場する「人に捨てられんとする人妻」は千代のことであり、「愛うすき父を持ちし女の児」とは谷崎と千代の娘鮎子のこと。つまり報われぬ人妻への愛を嘆いて涙する佐藤春夫の姿そのものだったのです。その後、谷崎と和解して千代は春夫と結ばれています。何とも純粋な恋でしょう。

ところで、今回のサンマは苦くも塩っぱくもなくとても美味しく食べられました。これで塩サンマより安かったんだから随分と得をした感じです。
焼きたてが食べられない社長かわいそー(えへへ)


** イベント参加予定 **


【モノヅクリサローネ2014秋】
日時:11月22日(土)10:00~16:00
場所:大分市ガレリア竹町ドーム広場