グランマーケットから帰って来て少しは休めるかと思ってみたところで、実際には休める状態にはなりません。作るだけでなく企画や会計も自分でやらなければならない者の宿命というヤツです。先週に社長が風邪をひいてそれを少し貰ったらしく鼻声で、気力と薬で乗り越え、高専保護者会に臨みました。
今回はどうしても担任のZ先生*にお会いしておかなければならない事情があったからです。
成績的には全く問題がないばかりか、数学物理分野ではクラストップにいます。しかし問題なのは遅刻が祟って未履修になりそうな教科があるのです。
ちょっと単位の取得に説明が必要でしょう。

高専という学校はテストの欠点が60点と他の高等学校と比較して高くなっています。ただ60点の判定はちょっとばかり注意が必要です。前期と後期にそれぞれ2回の定期試験があります。その点を合計して平均60点以上であれば欠点にはなりません。再試を行うのは学科によって条件が異なりますが、テストで平均30点以上あり、授業の2/3に出席していれば再試を申請して受け、合格すれば単位が貰えます。遡って追認試験を受けることもできますが、4年時までにそれまでの単位を満たしていないと5年へは進級できませんから落としている単位はそれまでに取得できるよう計画的に試験を受けるようにしなければなりません。
問題なのは授業の出席なのです。
高専では専門教科が前期のみだったり後期のみだったりするものがあります。これらの教科はマス数が少ないので一回でも欠課すると後がなくなってきます。よりによって今年はこのような教科が1限目に入っています。長男はこれらの教科で未履修すれすれの位置にいるのです。

Z先生は重い口取りでこう切り出しました。
「成績的には問題があるどころかむしろ優秀で生活態度なども全く問題がありません。ただ遅刻がかなり目につくのだけが」
前回の面談でも息子の気になっていた異変は伝えていました。その後、思わぬ展開に向かっていることもお話ししておかなければなりませんでした。
先日の二者面談では予定の時間を遙かにオーバーして「実は本人はかなり強めに言いましたが」と遅刻のことをご指導くださったそうです。

以前からこの子が学校の教育内容に疑問視するような部分があったり、部活における人間関係の疲弊を感じさせたりする部分を感じていました。特に後輩に対する苛立ちをプロコンでハッキリ感じました。そのエピソードは意外なことで私たちの耳に入ってきました。

高専祭の日、終わって帰って来たところに中学からの親友2人が訪ねて来たのです。その彼らから中学当時の息子の話を聞いたのでした。
あの子は3年生の時に合唱コンクールで指揮者を担当したことがありました。ところが3年生というのは微妙な時期なのです。受験に前向きな子は勉強ばかりですし、そうでない子たちはある意味白けモードで学校行事に積極的に参加しなくなります。一方、音楽には特に関心が強い息子。
ざわついたクラスの練習は一向に進まないという状況になりました。
それに息子はとうとうキレたのです。黒板消しをクラスメイトに叩き付けたというのです。それにびっくりしたのはクラスメイト。普段キレるととても思えなかった息子がキレたのですから。これを境に練習が本格的に進み始めたのだそうです。私はこの話を始めて聞いたのですが、プロコンの時の息子はまさしくこの状態だったと思いました。前回のときは熱心にプログラムの改良を重ね、細かいヴァージョンアップを記録する熱の入れようだったのに、今回は出場もせずサポートも訊くとムッとして「何もしない」と言い切ったのです。プログラム自体は時間切れになりそうになり結局自分が短期間に作り上げたものだったのにです。

この頃、社会に出て行くことにネガティブになりました。
もしかすると、そうした統率することへの挫折感や無力感を感じていたのかも知れません。それは逆に言えば真面目で責任感の強い彼の性格も表していたのですが。

Z先生は授業未履修の如何に救い上げが難しいか説明してくれました。私たちも良く理解はしていましたが、授業に出ないよりテストの点が悪い方が如何に楽なのか改めて実感させられた格好になりました。
それをよく知っているクラスの仲間にもかなり心配されているということでした。

そのとき偶々、特に仲の良い同級生のお母さんとお話することになります。
実は、息子の中学時代の同級生の親御さんと同じ勤め先なのだそうです。その人の子供さんが当時、私の息子に憧れていたというのです。そのお子さんも市内の進学校に通っているそうですが、息子は特別だったのだそうです。自慢のようで申し訳ないのですが、学校でトップクラスの成績の子は軒並み塾に通っているのに、この子は塾にも通わず特に受験勉強もせずにトップクラスにいたのです。その子はどう足掻いても勝てない息子に特別視をしていたのでした。どうやらこれは大袈裟ではないらしく学年が被らない子ども達にも話が広まっていてもはや伝説の域です。なのに本人はどうしようもない無力感を感じているのです。

思えば私にも似たところがあります。
私も同じようなことを何度も感じてきた人間でした。ですが、周囲の人々はそうは思っていなかったのです。できないことがあったのを発見した同級生に「できないことがあったんだ!」と驚かれたことがありました。そればかりか「こんな弱点があるとは」とまで言われました。私も万能だと思われていたのです。本人は至ってそんなことは思っていません。いや、むしろ人より劣る部分ばかり気が付いていたくらいでした。そのときどうして頼られていたのかやっと知ったのでした。結局似た者同士なのです。

「心配してくれているクラスメイトはお前と一緒に卒業したいんだと思うから心配してんだよ。お前はクラスにいて欲しい人なんだな。お前、掛け替えのない仲間だと思われてんだぞ。気に入って熱望してこの学校に入ったんだから、それくらいで潰れんなよ」

Z先生に息子は研究者としても技術者としても大事な素養があると言いました。だからこそ何とかしてあげたい。先生はとても光る素養を持っていると仰いました。

この子が受験するときコンピュータの世界を勧めたのは他ならぬ私です。それはこの子がしたい世界だと思ったからです。今年は長女も受験ですが、やはり本当にしたい事をさせてやろうと思います。それは子どもの人生は子どものものだからです。
そういう選択で進学しても挫折するときはあります。そこから何を学ぶかが大きな成長になります。挫折知らずで生きてきた人間などいないのです。自分の無力感を知る者こそ本当に成長できるのです。

このラビリンスから抜け出たとき君はひとまわり成長するでしょう。

*伏せ字にしたのではなくチェコ出身の先生のイニシャルから学生にそう呼ばれています。


** イベント参加予定 **


【モノヅクリサローネ2014秋】
日時:11月22日(土)10:00~16:00
場所:大分市ガレリア竹町ドーム広場



【クリスマスアートマーケット vol.21】
日時:12月20日(土)10:00~16:00
場所:大分市アートプラザ 2F アートホール




本日は寒かったせいか「韓国風湯豆腐」をリクエストされました。
今日は春菊も入れてみました。これも美味しいですね、長葱の甘味とピリッとしたタレとのコントラストも絶妙。