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情報難民、情報弱者

我々は「食事によって生きている」と同時に「情報を食べて生きている」
朝起きて寝るまでに一体どれ位の情報に接しているだろうか。
我が家は朝起きるとまずコンピュータを立ち上げるのが日課になっている。もう10年以上この習慣だろう。ニュースソースはネットか新聞が大半になった。逆にテレビはほとんど見ない。今日はまだ電源を一回も入れていない。
情報化時代と言われだしたのは最近のことではない。恐らく、何時の時代も新鮮なニュースは人々が競って欲しがるものだったと想像できる。何故なら命に関わる重要な事柄が昔の方が多かったからだ。
情報インフラの整備というのは国家を挙げて行われるものだ。これが最初に行われたのは明治時代であろう。というのも日露戦争の暗雲が立ち込めていたからである。日本は日露戦争において最新兵器だった無線電信機と海底ケーブルによる情報ネットワークを駆使して戦い勝利した。
それから100年以上経た現在、当時とは比較にならないほどのメディアが取り巻いている。かつて情報の発信者は特定の専門職、即ち新聞、ラジオ、テレビ、雑誌という情報発信を職業とする者が一方的に発信してきた。これらについては後述するが、こういう媒体にはある程度の情報発信者としての義務、社会的責任を根底とする節度ある情報発信がなされる素地があった。
しかし、インターネットが登場して時代は変化した。
情報受信者だった者が発信者の側にも立てるようになったのである。
僕がインターネットに初めて接した時期というのは、サイトを構築するのにブラウザのプログラム言語になっているHTML言語を理解して使わなければならなかった。掲示板もPerl言語を理解しないと作れなかった。他にもJAVAスクリプトやFlashのスクリプトが使えないと満足できるサイトにはならない時代で、非常に敷居が高かった。そういう状況であったので専門色の強いサイトが多かった、という印象を持っている。つまり知の集合体だったのである。

ブログは不要なのか?

しかしSNSが登場しプログが一般化すると敷居が一気に下がり、Twitterが出た頃には更に一般化が加速した。
実は自分のブログで「ブログ不要説」を書いたことがある。
今でもあまりこの意見は変化していないが、その理由はあまりに「不確定な情報や無意味な情報が多い」ことに尽きる。
ブログが登場して1年くらい経つと、特定の情報検索で必要ないページがどっさりヒットするようになった。マイナス検索やフレーズ検索を加えても調べたい条件によっては篩いに掛けることが難しい場合も多かった。また、有用なブログにヒットしても体系的にカテゴライズしていなければ過去記事を繰って行くしかなく煩わしいことこの上なかった。
検索者がどういう風に感じるか、それを感じないいわゆる「情報発信の素人」が作るブログは邪魔に思えたのだ。自由に発言できる「自由の裏側に義務と責任がある」ということが抜け落ちているからかも知れない。
そもそも全く知らない人の日常を綴る「日記」なんてものに全く興味がなかった。要するにブログの中心を占める「日記」のカテゴリーは氏んで欲しい、くらい思っていた。

噂話

情報社会において真実も嘘も同時に発信されている。嘘には「思い違い」から「悪意」まで温度差があるにせよ、それは誤った情報に違いない。
例えば数年前こんな噂話があった。
「別府湾を震源とする震度8の地震が年末頃起きる」というもの。
会社に出勤すると何人か集まって話している。何だか深刻そうなので訊ねるとこういう話だった。
僕はおかしい、と思った。震度8という基準はないからだ。
マグニチュードの間違いでは?と思ったがソースの出所が気になった。
「その情報は気象庁か専門機関からの発表?」
すると返ってきた答えは「細木和子が言ったらしい」と言われ笑ってしまった。
あの人は元々好きではないが(ハッキリ言うと大嫌い)所詮占い師が言うこと。地震を予言するなどもはや占い師の領域ではない。しかも「らしい」という噂話の域を超えない情報に大の大人が深刻になっていたのだ。どうも小学生を中心に広まったデマで、これには他の地域のバリエーションもあったようだ。
見逃せないのはこのデマによってホテルなどのキャンセルが少なからずあって、経済的に被害があったことだ。
冷静に考えればわかるのだが、日本に住んでいる以上地震は何時来てもおかしくない。それに対して常に準備しておくだけのことだ。
しかし何故こんな簡単なデマに引っ掛かったのだろう。しかもこの手のデマは一定の周期で出回っているようで、その度に右往左往するようでは本当に冷静な判断などできるのだろうか。
この嘘を見抜く第1のラインは、先述したように「震度8」がないということだが、知っていればある程度防げたと思われる。もっと言えば震度の計算方法を知っていれば震度8は物理的に起こり得ない地震だということもわかったはずだ。
第2のラインはこれだけ重大な情報ならビッグニュースなのにニュースになっていないことだ。残念ながら地震大国で地震研究が進んでいる日本の技術を以ってもピンポイントで地震を予測するなど不可能なのだ。このデマを見抜くにはたった2つ知識があれば確実に見抜けるものだった。
むしろ地震とは切っても切れない国民がこういう知識を持ち合わせていないことの方が恐ろしかった。

ソースチェックは「外在的チェック」である。幾つかの揺ぎ無い情報を元に分析する方法だが、もうひとつは「内在的チェック」である。情報の内容を現実的かどうか判断する方法なのだが、この噂の場合「占い師の予言」の部分が「内在的チェック」に当たるだろう。占い師が言うことに科学的根拠は持ち合わせていないことから「デマ」と判断できた。逆にそれらを持ち合わせていなければ「日本は地震大国」だからこの噂に翻弄される1人だったかも知れない。
このとき一刀両断に「単なる噂話だから気にするな」とした。バッサリやることで話は終息したのだが、もし和を重んじて「もしかしたら」などという曖昧な表現を用いていればまだこの話は引き伸ばされたと思う。

Twitterは諸刃の刃たるか

さて、先の噂はチェーンメールが元だったことがわかっている。聞いた話ではその年頃の児童をもつ母親の間で広まったようだ。現在はTwitterによってその情報の広まりが爆発的になった。正しい情報も嘘の情報も同時にばら撒かれていく。特にRT(リツイート)で簡単に他人の発言を引用できるためもの凄い勢いで情報が拡散される。
もともとTwitterはデマを制限できるメディアではない。140文字という制限の中で呟くゆるいネットワークだ。だからこの特性を知らずに使うと悪いことも甘受することになる。
公式RTでやれ、という発言をご覧になっただろうか。これはタイムライン上でみるとデマに対してツッコミが入るのが「時系列」でわかるため嘘の情報と注意していれば判別できるのに対し、非公式RTを使うとTLが複数存在するため判別し難くなるからだ。また公式RTは初めの発言者が特定できるので、その発言を削除すればRTは全て削除される仕組み。
Twitterによって助かった命もある。津波が押し寄せてくる光景を生々しく伝えたものもあった。
実はTwitterを始めとするネットメディアは文字データが基本であるため、非常にデータが軽い。そのため通話はできなくてもメールやネットは繋がった。
既存のメディアよりより早く情報が駆け巡ったのである。その立役者は携帯電話である。
今回の震災は津波の被害が大きい。これが過去の震災とは大きく異なり救助を難しくしていると考えられる。何故なら本来そこにあるべき建物がそこにはない可能性が高いからだ。全く違う場所に移動していることは十分にある。そこで有効と考えられるのがスマートフォンのGPSアプリだ。
携帯電話からGPSデータを付けてツイートすればかなりの確立で救助されると考えられる。その際に救助要請のハッシュタグ#j_j_helpmeを付けて呟けば「検索」によって呟きが発見される可能性は更に高い。
ただし救助された場合は自分の発言を削除することは忘れないように。
こういう災害の時、携帯端末は強力な武器になり得る。バッテリーの問題さえなければテレビの視聴もでき、ラジオ付きならそれも可能だ(バッテリーを心配するならラジオ)。ネットに繋がればネットニュースで情報をを得ることもできる。
今回の震災でスタートしたサービスのリンクを幾つかご紹介したい。

NTTデータ sinsai.info
株式会社コロプラ
 「停電チェッカー」「位置登録実績MAP」の提供
Google自動車・通行実績情報マップ
 パイオニア「スマートループ渋滞情報」本田技研「インターナビ」トヨタ自動車「G-BOOK」日産自動車「カーウイングス」それぞれの走行実績データを特定非営利活動法人 ITS Japanが集約したデータをGoogle Map上に表示

短期間に各社が提供をスタートさせたサービスは多い。特にGoogleのサービスは目を見張るものがある。
日立製作所とMicrosoftは共にクラウドコンピューティングシステムの増強で支援している。
我々は知らなければならないことが沢山ある。それを知るにはインターネットで検索するだけで良い、というのも事実なのだ。
一気に書こうかと思っていたが長くなってきたので、続きは次回に譲ることにする。
今回の最後に。
デマは何故起こるのか、ということに言及して〆たいと思う。
ウイルスには2種類ある。PCを直接破壊するタイプと間接破壊するものである。
よく知られるトロイ型ウイルスはコンピュータの破壊を目的とするが、サーバに負担を掛けてパンクさせるのもウイルスの1種である。一般的にメールアタックなどと呼ばれるが短時間に大量のメールを送り付けてメールサーバをパンクさせるのである。チェーンメールもある意味それに近い。
非常時にそれを出す発信者というのはネット環境に負荷を掛ける意図は程度の差こそあれ存在する。しかもそれに加担する人々の多くは善意である。それを重々承知した上で「もっともらしい修飾をつけたメール」を出すのである。デマは逆に人の不安に付け込んで行われる。
どちらも人の心を弄んで楽しむのが目的であり、ソースが確定できない情報や、至急何人に送れ、などという内容のメールは例え中身が良さそうなことでも出したり拡散しないようにするのがネット社会のセオリーだ。Twitterでも拡散に加担すると有用な情報が埋もれてしまう。
余計な負担を掛け悪の手先にならないよう思慮深い行動が必要だ。

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