僕は木という有機素材を相手に製作しているが、人工の素材と融合させたら面白いだろうと思っていた。
過去に金網をブラスして貼ったり、はなれ古舎に置いてあるデスクは廃品のフレームを利用したり、それらの実験的作品だった。
特にデスクは、僕が以前から考えていた「再生可能な社会」へのメッセージを込めたものだった。

テーマは「テツ」
それを一歩推し進めたのがこの作品。
サイドフレームは鉄のアングルを押し切ってパーツを用意し、それらをボルトで縫う。
極めてシンプルな構造である。
単体では全て回ってしまうのであるが、全てのパーツが組み上がるとお互いに回転方向への拮抗を果たす役割を持つようになる。
特に棚板はサイドフレームとの連結という役目を負っているが、棚板だけで強度を確保しようとすると連結部分の負担が大き過ぎる。そこで棚板にXストラップという補強材を入れることで全体的な強度を高めた。この構造は既製品のオープンラックでもしばしば見受けられる方法だ。
そして完成したのがこのオープンラックである。

Plateau armature en acier01
Plateau armature en acier02
Plateau armature en acier03
Plateau armature en acier04

テツの冷たさとキのぬくもり

この基本デザインは以前に木のフレームだけで製作したオープンラックを元にしていた。

tana_kasumiiro.jpg

このラックを製作した時、実はこういう作品製作のスタディーモデルとして据えていた。そのためリーズナブルな価格で販売したのである。
結局、病み上がりでなかなか手を付けずにいた。
工法上の問題点は出尽くしていたと思っていたが、素材が変われば違う問題点もあった。製作を始めて、一時は「本当に完成するのか」と思ったが完成に漕ぎ着けた。

初お披露目はアートマーケットだったのだが、タナカサトル氏に「かっこいいですねぇ」と評された。
このセカイであまり耳に入って来ない単語。
それが聞きたかった。
テツって何かいいよね。
二人で意気投合したのだが、この場にさうるばーとさんがいれば彼も同じことを言ったに相違ない。