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異色の素材がタッグ戦

寒い時期には温まる料理を食べたいのが人情というものだ。
鍋料理だとかおでんだとか、まあそういう料理を思い付くだろう。
しかし、家庭料理のみならずキャンプなどの屋外で、炊き出しで、イベントで、と様々なシーンで活躍している“豚汁”が今回のお題。
豚汁という料理はほとんどが冷蔵庫の常備野菜で作れリーズナブルで栄養満点と文句の付けどころがない。
肉は豚の切り落としが少しあれば十分だし、イモ類だって「里芋以外は認めんぞ」などという妙なコダワリを持っているなら
「偉い人にはわからんのです」
と突っ込むだけであり、ジャガイモで良し、山口ならサツマイモを入れるくらい自由度が高い。
このようにフトコロが深い料理なら意外な素材が入っても寛容に受け止めてはくれやしないか。

そこで考えたのは“ちゃんぽん麺”との組み合わせ。
思い付きだったはずが、やってみると“どストライク”の味。
最初はノーマルで食べ、〆に入れても良いし、最初から入れても良い。
しかも普通に豚汁を作ってちゃんぽん麺を入れるだけ、と作り方も極めてシンプル。

なぜこんな組み合わせを考えたのか、というと、以前に鴨鍋にラーメンが合う、と聞いてやったら美味しかったからだ。
鍋の作り方はちょっとコツがあるのでレシピを記載しておこう。
<材料>
鴨スライス

日本酒
醤油

砂糖
出汁昆布

生ラーメン

量は正確に憶えていないので、ポイントだけ。
水から昆布を入れて火に掛け出汁をとる。沸騰したらすぐに昆布は取り出せ。
そこへ酒を投入。
水と酒の割合は1:1。
沸騰させてアルコールを煮切ってしまえ。酔うぞ。
味付けはちょっと甘目な味付けにする。甘目と言っても心持ち程度だ。
鴨肉を入れて火が通ってきたら、食べ易い大きさに切った芹を入れて一煮立ちさせて完成。
好みで七味や刻み葱を加えて食べる。
〆にラーメンを鍋に入れて茹でて食べると、鴨の味がしみて美味いのなんの。うどんでもやってみたが、何故かラーメンの方が美味い。ラーメンでもインスタントの乾麺はアウトだからな。
鴨は鶏とは違ったクセがあるので子供には嫌われるかも知れない。芹も独特のクセがあるからな。
因みのウチの子供たちにはウケが良かった。
どちらかと言うと大人向けの味ではあるんで、小鍋仕立てにしてもいいだろうな。
鴨と芹で日本酒か焼酎あたりで一杯やって最後にラーメンで終わるなんて食い方が粋だろう。
この鍋はシンプルだからこそ鴨の旨味を堪能できる料理であって、深みがある鍋。
ところが親に教えたらグダグダと具材を足してしまって、全くこの鍋の良さを殺したものを拵えた。
わかってないねぇ。

今じゃ鴨が葱背負って、なんて言葉があるが、昔から鴨と芹が一般的だった。鍋の主役、芹に敵う物なし、といわれ特に鴨の臭みを消すのに最適だった芹を江戸の庶民は好んだらしい。
同時に芹は春の七草にも数えられるくらいだから、冬の終わりを告げる鍋でもあっただろう。
そういえば新撰組の隊士に「芹沢鴨」という奇妙な名前の男がいた。
この男は初期の局長(全身の壬生浪士隊時代)だが、あまりの乱暴狼藉振りのため近藤らによって暗殺されている。
この男の奇妙な名前はどうやら自分で改名して名乗ったらしい。
「一度聞いたら忘れないだろ」というのは佐藤浩一が演じた鴨の台詞だが、それまで下村嗣次と名乗っていた。生まれはよくわかっていないが水戸藩芹沢貞幹の三男が有力説で光幹という。その後、同藩の下村家に養子に出され、名前を鴨と名乗り始めたのは近藤勇に接触したあたりらしい。
それまで水戸の天狗党に加わり恐喝まがいや乱暴をはたらき投獄されていた身分だった。
芹に鴨と組み合わせたのは「洒落」という説があるが、鴨の臭みを消すのが芹だとすれば、この男、どこまでクセが強かったのかわからない。
もし、そんな洒落でつけた名前なら自覚症状がかなりあったに違いないが、京都においても乱暴振りが目にあまり、お抱えにしていた会津藩も世間の攻撃が藩に向けられるのを防ぐため暗殺に向かっていく。
もっとも単なる田舎剣客に過ぎなかった近藤や土方だけで新選組が正式に会津藩預かりになったとは考え難く、芹沢によるところが大きい。
ともかくも芹沢鴨のクセは死なねば治らなかった、ということなんだろう。


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