昨日の記事で何故、GT5の特別版OPムービーが「最高」と言われているのか?
すみません、*clear*のブログってこういう流れが多いのです。

このムービーの凄さは「自動車産業とはその国の産業の集大成である」ということを良く理解して作られているところにあります。ある種、凄みすら感じます。
このムービーは鉄鉱石から製錬し、鉄を作るところからスタートします。自動車の主要原材料は鉄からできているからです。しかし自動車は鉄のみでは作れません。
ガラスや樹脂、布など多くのマテリアルを含んでいます。
複雑な曲面のガラスを成形する技術や、樹脂ならば経年劣化を起こしにくい技術に加えて、質感などの表現も含めて非常に高度です。そして、それらのノウハウは多くの分野で応用されるものです。
メーカでは多くのプロトタイプを経て量産品へ移行して行きます。これらの研究開発費で最も注ぎ込んでいるのはトヨタ自動車で年間8,700億円を超えるそうです。

少し話を戻しましょう。
GT5のムービーは鉄鉱石の採掘から始まりますが、戦前と戦後ではかなり趣が異なります。
戦前の日本が製鉄を中心とした重工業を重視した理由は、列強と肩を並べられる実力を身につけるために、ムリをしてまで武力の増強をした結果でした。製鉄能力はその国の国力そのものだったのです。
しかし敗戦国となったこの国が目指したものは「モノヅクリ日本」でした。
そのバックボーンにも製鉄は必要だったのです。

自動車はその前身に「馬車作り」の文化がありました。
多くの欧州における「カロッツェリア」とはその前身に長い馬車作りの文化があったのでした。
時代が変わり、動力が馬からエンジンに置き換えられた時代に自動車のボディーを架装するメーカーへ変化することで生きる場所を得てきたと言えるでしょう。
欧州ではそうした自動車作りにおいても長い馬車の歴史から、乗り味や愉しみというものを技術に折り込み文化を熟成していました。
日本の自動車産業はそれに追い付くのに50年もの年月をかけて技術を研ぎ澄ませてきたのです。
ただモノを単純に真似して作るだけなら、手先が器用で勤勉な日本人にとってそう難しいことではありません。しかし日本の技術者が目指したのは、そうした長い歴史に支えられた欧州の自動車産業の文化面でも凌駕するようなモノづくりでした。
現代における自動車はその国家の鏡のような存在と言えます。

私は設計者が何を意図してこのようなプロダクツを設計したのか感じ取れる瞬間がとても素晴らしいと感じます。
アクセルを踏み込んだとき、コーナーを抜けたとき、ブレーキを踏んだときの足の裏に伝わってくる震動さえモノづくりのために多くの技術者が知恵を絞ってきた苦労と夢を感じます。
おそらく感性豊かな皆さんはこのような事柄は当たり前のことだと存じます。
でもモノ作りに携わる私はあえて言いたいのです。
私が支払っている対価は恐らく最良の品物を拵えたいと思う多くの技術者への労いなのだと。



** イベント参加予定 **


【第31回クリエイターズドーム(CREDO)】

日時:1月25日(土) 11:00~16:00
場所:ガレリア竹町ドーム広場



【大分ものづくり発見市】
日時:2月1日(土) 11:00~20:00
場所:大分市中央町2丁目5-3 セントポルタビル1F(トキハインダストリー若草公園店軒先)